Interview

女優『木村多江』 「生きることは、それ自体が、クリエイティブなこと」

―撮影で特別な経験もなさったとか。
「台本を読んだときに、物語を立体化できなかったんです。舞台は無人島ですから、現場に行ってみないと、どうなるかわからないなと思っていたんです。40日間の大自然の中でのロケで、まさか自分が虫に話しかけるなんて思いもよりませんでしたし(笑)。でも、自然という共演者と共存していくと、だんだん島での生活がリアルな体験となって、清子が体感していることと重なってくる。ですから、そこで起きたことのすべてが、演技というよりも、記憶となっていく感覚に襲われました。それが最後のシーンの撮影で記憶としてフラッシュバックして来て、思いもよらない感情を経験したんです」
―今回「アーバンライフ・メトロ」の特集では、屋外でご飯を食べる喜びを特集しています。やはり、自然を肌で感じることは特別ですね。
「空が美しいとか、道端に咲いた花が美しいとか、そういうことが豊かさだとは日頃から思っていたんです。ただ、島での40日間のロケを経験し、実際に自然の中で生活していると、自然に対する驚異と畏敬の念を示さざるをえなくなる。島に行って、いきなり台風に遭い、もの凄い強風の中、崖の上で撮影しましたから、危ない状況も経験しました。でも、自然って畏敬の念を示すと、今度は味方してくれるようになるんです。スコールが降っても、ぱっとやんでくれるとか、ここに月があったらいいなと思うと、欲しい所に満月がぽっかり浮かんでくれるとか。人間も明らかに自然の一部。共存しているにすぎないんだと感じざるをえない経験が多かったですね」
原作とはまたひと味違った全く新しい作品になっているので、大いに笑って、日常を忘れて、自分に必要なもの、不必要なもの、旦那様も含めて...というのは冗談ですが(笑)、それを考える機会にしていただけたら嬉しいですね」