≪産学連携≫移動者視点で交通広告の価値を検証

調査実施日|2023.11.08
調査場所|東京メトロ東西線「早稲田駅」1番出口,2番出口の階段
調査サンプル|108名

研究主体:東京国際大学 商学部 平木いくみゼミ 27名(3年生14名、4年生13名)
協力:太陽工業株式会社(以下:太陽工業)、株式会社メトロアドエージェンシー(以下:メトロアド)
研究期間:2022年9月~(継続中)

●調査概要
今回の産学共同研究は2022年9月、東京国際大学商学部平木ゼミの研究として開始されました。
地下鉄を利用する人たちの無意識の感覚に効果的に働きかける広告を検討するなかで、階段を上下する運動がもたらす影響について注目しました。
まずプレ調査として、東京国際大学内にて、2022年11月(学生28人)、2023年4月(学生50人)、2023年5月(学生119人)の計3回、階段の昇降感覚の調査を行いました。
続いて、2023年11月には、広告主として太陽工業、広告掲出場所としてメトロアドが協力し、早稲田駅の階段、踊り場に実際に広告を掲出して検証を行いました。
階段を上下した実際に地下鉄を利用する108人をサンプルとして広告から受けるイメージを検証しました。
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<全体の調査スケジュール>
・大学内のプレ調査-第1回 2022.11.16 調査サンプル28名
・大学内のプレ調査-第2回 2023.04.26 調査サンプル50名
・大学内のプレ調査-第3回 2023.05.28 調査サンプル119名
・東京メトロ「早稲田駅」調査 2023.11.08 調査サンプル 108名

●調査結果
▼ 階段を「昇る」感覚と「降りる」感覚
平木ゼミのプレ調査で、階段を昇るとポジティブな「尊い」概念が活性化し、ブランドイメージを高める広告が効果的であることがわかりました。
一方、階段を降りると「近い」「落ち着き」といった感覚があり、帰属意識を高める広告が効果的であることがわかりました。

▼ 階段昇降時の感覚・心理に適したクリエイティブ
東京メトロ早稲田駅での調査では、プレ調査の結果を採用した広告案で実証しました。
太陽工業の広告は、グローバルな実績写真を活用した「ブランドイメージ」、仕事風景や社員の写真を活用した「帰属意識や親しみを促す」の2種類のクリエイティブをご準備いただきました。それぞれ早稲田駅の階段踊り場に掲出し、駅利用者108人を対象にアンケート調査を行いました。

【産学共同研究で使用した太陽工業の広告(左:ブランドイメージ、右:帰属意識や親しみを促す)】

調査の結果、プレ調査と同様に、階段を昇って来た人は企業のブランドイメージを訴求した場合の方が、階段を降りてきた人は帰属意識や親しみを訴求した方が、それぞれ広告評価が高くなり、広告主への評価も高まる傾向が見られました。

▼ 広告サイズ
東京メトロ早稲田駅での調査では、「B0ポスターが移動中に目にする広告として見やすいサイズか」についても検証しました。
調査の結果、「そう思う」が42%、「とてもそう思う」が38%で、合計で全体の80%を占めており、B0ポスターは移動中に見る広告サイズとして適していることが明らかになりました。

● 感覚マーケティングを利用して交通広告の価値を高めていく
「移動」という行動過程は、習慣化された行動であることが多く、移動者は無意識あるいは潜在意識が高い状況であると言えます。地下鉄は階段移動が伴います。スマートフォン利用率が低い動線上の広告で視野が確保され、移動者の捉え方次第で広告効果が大きく変わってきます。
そのような移動者の感覚に適した内容を訴求すれば、交通広告はより効果が発揮されます。他メディアのクリエイティブが流用されることも多い交通広告ですが、キャッチコピー・イラスト/写真に一工夫加えることで、接触深度の高まりも期待できるでしょう。

体験価値の重要性など声高に叫ばれている中、今回のような感覚マーケティングの観点でのアプローチも有効と考えられます。
交通広告に秘められた可能性を学術的な視点からも明らかにしていくことで、これからの広告表現やアイデアに新たな価値が創出されていくと思います。

*詳細の分析資料はこちら

【第1弾】駅メディア-階段広告の検証結果.pdf(PDFファイル)

■東京国際大学 商学部 平木ゼミ
東京国際大学は、「公徳心を体した真の国際人の養成」を建学の理念とし、英語教育とスポーツ教育を柱に、池袋・川越・坂戸キャンパスで教育活動を展開しています。現在6学部10学科4研究科を擁する総合大学です。
感覚(センサリー)マーケティングの研究分野で長けた平木いくみ教授のもと、主に「マーケティングと消費者行動」の研究活動をしています。これまでも産学協同の研究は活発にしており、コンビニエンスストアでの陳列やポップ広告の実験、さいたまスーパーアリーナでのチラシ実験、地酒ビールのブランディングなどの実績がございます。

■太陽工業株式会社
「膜構造のリーディングカンパニー」です。軽くて丈夫な「膜」の特性を活かし、国内外のスタジアムやパビリオンを手掛けています。また土木や物流、環境分野にも事業展開しており、創業100周年を迎えた現在はイベントや施設運営のグループ会社との連携も強化しています。

※ 本件に関するお問い合わせ先
ビジネス開発局 ビジネスプロデュース部
山田(03-5501-7986)、高澤 (070-4178-7502, k.takazawa.c6x@metro-ad.jp )
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