≪産学連携≫移動者視点で交通広告の価値を検証【第2弾】

研究主体: 東京国際大学 商学部 平木ゼミ27名(3年生14名、4年生13名)
協力: 太陽工業、メトロアド
研究期間: 2022年9月~2024年6月

●調査概要
今回の産学共同研究は2022年9月、東京国際大学商学部平木ゼミの研究として開始されました。
地下≒暗い環境では不安感情が高まるなかで、人々が求める刺激≒効果的なクリエイティブについて注目しました。
まずプレ調査として、東京国際大学内にて、2022年11月(学生28名)、2023年6月(学生119名)の計2回、地下の感覚の刺激がもたらす影響について調査を行いました。
続いて、2024年2月には、広告主である太陽工業のクリエイティブテスト(仮説に沿うクリエイティブになっているか)を経た上で、広告掲出場所としてメトロアドが協力し、東京メトロ全9路線の車両内デジタルサイネージに広告を掲出して検証を行いました。
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<全体の調査スケジュール>
・大学構内のプレ調査-第1回:2022年11月16日 調査サンプル28名
・大学構内のプレ調査-第2回:2023年6月28日 調査サンプル119名
・動画クリエイティブのプリテスト:2024年2月21日 調査サンプル49名
・東京メトロ全線ドア上車両(Tokyo Metro Vision)放映:2024年2月26日~3月3日
・インターネット調査:2024年3月8日(夜)・3月11日(昼) 調査サンプル各145名(計290名)

●調査結果
▼ 地上と比較し、地下空間では刺激を求める傾向
東京国際大学 平木ゼミでの先行研究やプリテストの結果、地下≒暗い環境では不安感情が高まり、地上より「スマホなどの刺激物へ注意が向く環境」であることが導き出されました。

▼ 地下鉄で展開する広告は未来的な要素があるクリエイティブが効果的
創業100年以上の歴史を誇る太陽グループ(太陽工業株式会社、TSP太陽株式会社、アクティオ株式会社)を題材に検証いたしました。次の100年に向けて、グループ経営の強化を図っていることをステークホルダーへ周知する「未来要素※1」がある動画広告を東京メトロ全線の車両内デジタルサイネージで放映しました。
その後、昼と夜に分けてインターネット調査を行い、動画広告に対する印象を調査しました。その結果、昼を地上空間、夜を地下空間と想定した場合、地上よりも地下のほうが広告への注意や評価が高くなりました。
このことから、地下鉄で展開する広告は、未来的な要素があるクリエイティブが効果的であることが明らかになりました。

※1 事前のクリエイティブ調査で「未来要素(未来,将来,希望,新しさを感じる)」があることを確認


▼ 単なる色味や形だけでの表現≒刺激では効果的にならない
事前のプリテストにて、より強い刺激を与えるために「広告の色味」や「広告の形」の違いでも検証しましたが、地上と地下で広告に対する注意や評価に違いは見られませんでした。しかし、「海外」や「未来」の訴求内容は高評価となりました。明るい条件(地上)よりも暗い条件(地下鉄)において、国内よりも海外、過去よりも未来が光の概念との結びつきが強いからだと推測しています。
地下鉄で展開する広告は、単に刺激を強くするだけではなく、訴求内容(クリエイティブ)から光概念を活性化させること、なかでも「未来」を訴求した内容は効果が高いことが示されました。


▼ 今後への示唆出し
今回の検証で、無意識に不安感情が高まる地下空間において、人は刺激を求めること、その刺激は光の概念を連想させるクリエイティブが有効であることがわかりました。
ただし、訴求ポイントやクリエイティブ表現など特定のシチュエーションでの調査につき、すべての広告主・車両内サイネージ全体に応用が効くものではありません。今後も様々な検証を重ねて、広告プランニングの一端を担えるよう努めていきます。


▼東京国際大学 商学部 平木ゼミ
感覚(センサリー)マーケティングの研究分野で長けた平木いくみ教授のもと、主に「マーケティングと消費者行動」の研究活動をしています。これまでも産学協同の研究は活発にしており、コンビニエンスストアでの陳列やPOP広告の実験、さいたまスーパーアリーナでのチラシ実験、地酒ビールのブランディングなどの実績があります。

▼太陽工業株式会社
太陽工業は、経済性、施工性、透光性、デザイン性に優れた大型膜面構造物のリーディングカンパニーです。「膜の無限の可能性を引き出し、お客さまに感動と快適な環境をお届けします。」の企業理念のもと、軽くて丈夫な素材の特性を活かし、巨大ドームの屋根に象徴される各種建築事業をはじめ、土木や物流、さらには環境分野などにも事業を展開し社会の安全・安心を支えています。

▼太陽グループ
太陽工業株式会社、TSP太陽株式会社、アクティオ株式会社の3社からなります。
太陽グループは1922年、能村テント商会として創業し、その後、戦後の焼け野原の中、ミシン一台ハサミ一丁から再スタートを切りました。創業以来、「少しでも社会の役に立ちたい、一人でも多くの人に感動を届けたい」という思いのもと、「膜」素材の特徴を活かしたユニークな製品を世に送り出してきました。「膜」技術をベースに1970年の大阪万博で大規模なパビリオン設営や運営を請け負うなかで、TSP太陽やアクティオが誕生し、能村テント商会を起源とする今日のグループ3社が形成されました。グループ創業100周年を機に、グループ3社でのシナジーを高めながら膜と空間と体験の可能性を追求し続け、「世界を、やわらかく。未来を、あたたかく。」することを目指しています。

※ 本件に関するお問い合わせ先
統合メディア局 統合メディア部
山田(03-5422-1794)
メトロアドお問い合わせフォーム /inquiry/other.html

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