憧れの街の玄関口として、シックに生まれ変わった「銀座駅」に注目。

2017年に開業90周年を迎えた銀座線では、「伝統×先端の融合」をコンセプトに全駅のリニューアル工事を行っています。そして、ついに昨年10月、その中心的存在である「銀座駅」のリニューアルが完成しました。銀座駅がどのように生まれ変わったのか?今回はその全貌をご紹介します。

銀座駅は「人と街をつなぐ光のゲートアベニュー」へ

銀座は、老舗や高級ブランドのショップ、画廊・ギャラリー、レストラン・カフェなどが軒を連ねる日本の文化・流行の発信地ともいえる大人の街。その玄関口となる東京メトロの「銀座駅」は1934年に銀座線の駅として誕生しました。その後、丸ノ内線、日比谷線が乗り入れ、今ではターミナル駅として1日平均37万人以上の人々に利用されています。今回のリニューアルは、前回の東京オリンピックが開催された1964年以来となる、実に56年ぶりの大改修。銀座らしい“伝統”と“先端”の機能が融合した駅に生まれ変わりました。
銀座駅のデザインコンセプトは「憧れの街」。“上品・優雅・高級感”という銀座らしさが感じられるシックなデザインに仕上がっています。そのデザインにおいて重要な役割を果たしているのが「光の演出」。「人と街をつなぐ光のゲートアベニュー」をコンセプトに、光を巧みに使って地上と地下、そして利用する人々をやさしく誘導してくれる駅へとリニューアルされました。

3路線のカラーでライトアップされた直感的な動線設計

銀座駅は、3路線が乗り入れる便利な駅である反面、乗り換えが分かりにくいという声も聞かれました。その課題を解決するために、今回のリニューアルでは「光」が効果的に使われています。通路の柱は光のグラデーションで彩られ、各路線のホームに近いエリアをそれぞれのラインカラーでライトアップしています。銀座線に近いエリアはレモンイエロー、丸ノ内線周辺はチェリーレッド、そして日比谷線周辺はシルバーホワイトでライトアップされ、黒を基調としたデザインに光のグラデーションが浮かび上がります。これらの光のアレンジによって、上品かつ高級感のある雰囲気を醸しつつ、直感的に乗り場が認識できるように設計されています。また、光る柱に目を凝らしてみると、銀座線はG、丸ノ内線はM、日比谷線はHと、それぞれの路線の頭文字を図案化したデザインが施されているなど、手の込んだ演出が隠されています。

地下と地上をつなぐ、天井のオリエンテーションサイン

各路線の改札口は、銀座の街の玄関口であり、来訪者をおもてなししたいとの想いから、ホテルのエントランスをイメージして設計されています。さらに、ここにも仕掛けがあり、天井を見上げると、地上の風景が描かれたイラストに目が止まります。これは「オリエンテーションサイン」と呼ばれるもので、頭上の風景を描くことで、今いる場所を分かりやすく示すという配慮から生まれたもの。銀座線の改札口なら、銀座四丁目交差点のランドマークである建物が描かれ、自分が今どの場所にいるのかをイメージしやすくなっています。オリエンテーションサインは、丸ノ内線改札、日比谷線改札にもそれぞれ設置され、朝・昼・晩と時間によって色が変化するという演出がなされています。

銀座線のホームには歴史を感じる壁画が登場

光のサインは地上の出入口にも施され、夜になるとガラス張りの部分が光のグラデーションで彩られます。光の柱に誘われて通路を抜け、目的の路線のラインカラーを目指して進めば直感的にホームに向かうことができます。今回のリニューアルでは、銀座線のホームもシックな内装に生まれ変わりました。目を引くのはホームの壁面に描かれたイラスト。ホームの両側に銀座の街の歴史が描かれ、その風景は1920年から始まり、銀座線開通100周年となる2027年まで続いています。黒く塗布したアルミを削って描かれたイラストは、電車が入ってくるとライトで浮かび上がり、幻想的な表情を見せています。

コンコースにも新たなスポットがお目見え

改札口を出た各路線を結ぶコンコース(自由通路)は、可能な限り天井を高くし、見通しをよくするなどの改良が図られています。中でも日比谷線のコンコースには、木目調の落ち着いた装飾が施され、新たにスタンディング式のテーブルが配置されました。テーブルには電源コンセントが完備され、誰でも無料で利用できるので、ちょっとした休憩やテレワークに活用できるスポットとして人気を集めそうです。

大人の街、憧れの街として、昔も今も人々を魅了する銀座。その玄関口として、まさに伝統と先端が融合する駅として生まれ変わった銀座駅に、今後もますます注目が集まりそうです。

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