コロナ禍でも本質は変わらない?!オンライン面接が主流になったいま、採用担当者が新卒採用にかける想い

人事部では、企業・組織を活性化していく「採用」「教育・研修」や、社員が安全・安心に働くための施策や環境を
つくる「労務管理」を担当しています。
本コラムでは、コロナ禍における新卒採用活動の施策や考え方についてご紹介いたします。

コロナ禍でも新卒採用を継続的に

近年の新卒採用における広告業界の情勢としては、デジタル・ITを軸とした広告関連企業の台頭もあり、いわゆるトラディショナルな広告会社の応募者数は相対的に下がっています。とはいえ、業界大手でも100名、200名という採用枠ですから、依然として高倍率な業界であることは確かです。さらにコロナ禍の影響で業績に見通しが立たない企業のなかには、今年度の新卒採用を縮小・中止した企業もあり、採用倍率はますます高まるばかりです。

新卒採用活動の実施有無については各社考え方が異なるかと思いますが、当社においては2007年の創立以降、2008年のリーマンショックがあっても、2011年の東日本大震災があっても、そして今回のコロナ禍の影響があっても、毎年継続的に新卒採用活動を行っています。
それは目先の経営状況ではなく、10年20年先を見据えているからで、既存のビジネスにおいて筋肉質な組織をつくっていくというような“成熟”フェーズではなく、ポテンシャルを活かした既存ビジネスの機能強化や新規ビジネス進出など事業を拡大していくような“成長”フェーズにあることが前提となっています。

こうした事業の成長イメージを元にした人材採用の考え方に則り、本コラム執筆時点では、当社の新卒採用の目的を「将来の幹部候補の獲得」としています。様々なビジネスフィールドがあるなかで、ジョブローテーションを通じて様々な職種、様々な経験をしてほしい、そして将来の幹部候補として当社を担う存在になってほしい、という想いが込められています。
当然足元の業績は考慮する必要はありますが、今後様々な環境変化に対応して事業を推進していくには、新卒採用は縮小せず継続して行うことで組織を活性化させていく必要があると考えています。

対面面接とオンライン面接、メトロアドの選択は…

選考フローにおいてはコロナ禍の影響を大きく受け、形式変更・日程延期を余儀なくされました。二次選考グループディスカッションでは、
3度目の緊急事態宣言により対面からオンラインへ形式変更いたしました。
「形式がオンラインになっただけ」そう言われるとそれまでなのですが、オンライン独特のタイムラグや通信トラブルの可能性、相手の反応の読み取りづらさや発言(挙手)のタイミングの難しさなど、オンラインならではの懸念がありました。
特にグループディスカッションは、複数人のグループで、社員が日頃社内外で行っている業務に近いシチュエーションで行うため、オンラインへの形式変更はギリギリまで悩みました。

一方、三次選考個人面接では、対面形式を優先し日程を延期いたしました。
当然のことながら、新卒採用における評価基準は緻密に設計されています。全社戦略・人事戦略に基づく求める人物像からブレイクダウンした評価基準があります。三次選考に参加いただく学生はどなたを採用しても遜色ない、そういったフェーズで、「多くの懸念が残るオンラインで学生の皆様の良さを引き出し、将来の幹部候補としての可能性を見出すことができるのか…。」という経緯で、形式変更ではなく、日程延期を選択いたしました。
当然延期せず予定どおりという選択もありましたが、関東圏以外の学生の皆様からも多数ご応募いただいているなかで、緊急事態宣言中に、
県をまたぐ行動を企業側から無理にお願いすることは、当社の企業姿勢としてありえません。なるべく早い段階での内定を希望する学生の皆様にはご迷惑をおかけしてしまい本当に申し訳ございませんでした…。ただ、そういった点も「マッチング」のひとつであるとご理解をいただきたい…と願いながら日程を延期させていただきました。

採用面接の最適解とは?

コロナ禍においては、オンライン面接を中心として対面面接は「最終選考のみ」という企業が多いようですが、当社においては結果としてオンラインと対面の割合は半々となりました。
新卒採用においてはどちらかというと対面主義的な面が強い当社でしたが、オンラインというツールを検討せざるを得ない状況への対応をしっかり検討していく中で、結果として設計がより緻密になったと感じています。対面面接を単純にオンライン面接に切り替えるということではなく、選考ステップや評価基準の見直し・アップデートを行い、オンラインを組み込んでいくようなイメージです。

オンライン面接に切り替えた企業からは「意外とできた」という声はよく聞きますが、「意外とできた」で良いわけはなく、オンラインのメリット・デメリットを理解したうえで、選考全体の質を上げられるような設計・運用が必要であると感じています。
当社では現在テレワークを推奨しています。コロナ禍で社員を守り、感染拡大防止に少しでも貢献するといった外的要因によって導入せざるを得ない状況で不安もありましたが、いざ導入してみると「意外とできた」という声も多くあげられました。ただ、これもテレワークが「意外とできた」なだけであって、本来求められる組織・個人としてのパフォーマンスが発揮できているか…。
通勤時間がなくなって時間が創出される、精神的にも身体的にも負担軽減というメリットを差し引いてどうか。

コロナ禍以前、某アメリカのIT企業では社員にテレワークを命じていましたが、結果的に廃止した、というニュースがありました。
理由としては、イノベーションを起こすためには密なコミュニケーションが大切であり、テレワークの否定ではなく、出社することが最適と判断したということでした。
クライアントの課題に対しアイデアを以って解決していく「人が資産」の広告会社においては、日々の何気ない会話や顔を合わせての密なコミュニケーションは非常に大事なプロセスです。採用面接においても、評価基準に沿って杓子定規に判断をするのではなく、学生の皆様の良さを引き出して深く理解するには、オンラインだけでなく、対面でもじっくり時間を取ってコミュニケーションを取ることも大事だと感じています。

次年度以降、ある程度は平常時に戻ることが想定されますが、依然としてコロナ禍の影響を受けるでしょうし、そのような状況下でも学生の皆様が安心して採用面接を受けられるよう、おそらくオンライン面接は継続実施することになるかと思います。
しかし、安易に対面の代替としてオンラインに移行するのではなく、ここ数年で培ったノウハウ、導入に向けて巡らせた思考そのものを踏まえ、採用面接の最適解を見つけられたらと思っています。

それでは、採用活動を通して皆様とお会いできる日を楽しみにしております。

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