自分ならではのSDGsを考える

SDGs(Sustainable Development Goals)という言葉は今やすっかり世間に浸透したように思えます。
一方、言葉だけが先行しているという印象も否めず、「自分に何かできるの?」という人も多いのではないでしょうか。
本コラムではSDGsの内容をおさらいしながら、一人ひとりができることについて、筆者の考えを述べたいと思います!

SDGsは難しい!?

SDGsが≪17の目標≫で構成されていることは何となく認識しているのではないでしょうか?
「カラフルな四角がたくさん並んでいる」くらいの認識の人も多いかもしれません。(少し前の筆者のことです)
ではまず、あらためてその「カラフルな四角」を見てみましょう。

うーん、確かにカラフルですねぇ笑
また、≪貧困をなくそう≫≪飢餓をゼロに≫≪ジェンダー平等を実現しよう≫・・・
こういった言葉だけ聞くと「難しい・・・」「国が取り組むことで、自分には関係ない」と敬遠してしまうのも無理はないかもしれません。

また、≪17の目標≫にはさらに≪169のターゲット≫が紐づけられています!
たとえば、④の≪質の高い教育をみんなに≫ですと10のターゲットがあります。
【例:質の高い教育をみんなに】

4.1 2030年までに、すべての少女と少年が、適切で効果的な学習成果をもたらす、無償かつ公正で質の高い初等教育・中等教育を修了できるようにする。
4.2 2030年までに、すべての少女と少年が、初等教育を受ける準備が整うよう、乳幼児向けの質の高い発達支援やケア、就学前教育を受けられるようにする。
4.3 2030年までに、すべての女性と男性が、手頃な価格で質の高い技術教育や職業教育、そして大学を含む高等教育を平等に受けられるようにする。
4.4 2030年までに、就職や働きがいのある人間らしい仕事、起業に必要な、技術的・職業的スキルなどの技能をもつ若者と成人の数を大幅に増やす。
4.5 2030年までに、教育におけるジェンダー格差をなくし、障害者、先住民、状況の変化の影響を受けやすい子どもなど、社会的弱者があらゆるレベルの教育や職業訓練を平等に受けられるようにする。
4.6 2030年までに、すべての若者と大多数の成人が、男女ともに、読み書き能力と基本的な計算能力を身につけられるようにする。
4.7 2030年までに、すべての学習者が、とりわけ持続可能な開発のための教育と、持続可能なライフスタイル、人権、ジェンダー平等、平和と非暴力文化の推進、グローバル・シチズンシップ(=地球市民の精神)、文化多様性の尊重、持続可能な開発に文化が貢献することの価値認識、などの教育を通して、持続可能な開発を促進するために必要な知識とスキルを確実に習得できるようにする。
4.a 子どもや障害のある人々、ジェンダーに配慮の行き届いた教育施設を建設・改良し、すべての人々にとって安全で、暴力がなく、だれもが利用できる、効果的な学習環境を提供する。
4.b 2020年までに、先進国やその他の開発途上国で、職業訓練、情報通信技術(ICT)、技術・工学・科学プログラムなどを含む高等教育を受けるための、開発途上国、特に後発開発途上国や小島嶼開発途上国、アフリカ諸国を対象とした奨学金の件数を全世界で大幅に増やす。
4.c 2030年までに、開発途上国、特に後発開発途上国や小島嶼開発途上国における教員養成のための国際協力などを通じて、資格をもつ教員の数を大幅に増やす。

「え!?4.1とか4.aとか、数字とアルファベットって何が違うの!?」と思ったことでしょう。
実は、数字は各目標の具体的な課題の達成を示し、アルファベットは課題の達成を実現するための手段について示されているのです!

上記を見ただけでも、「取組みの規模は大きい」「取り組まなければならないことは多い」「取り組み自体が個人では難しい」という印象を受けることでしょう。
下記アンケートのQ1とQ6にあるとおり、SDGsの言葉自体の認知度と、実際行動に移したことのある人の割合が大きく乖離しているのも当然かもしれません。

SDGsに関するアンケートを実施! 個人・企業の取り組み状況は?(別窓で開く)

※アンケート出典:infoQ by GMO
【調査概要】
調査方法:infoQでwebアンケート実施
調査期間:2022年2月3日(木)~2022年2月6日(日)
有効回答:2,000サンプル
調査対象:全国15~99歳男女

一番身近な目標は?

では、「大きくて・多くて・難しい」SDGsの中で、とっつきやすい、一番身近な目標はどれでしょうか。
筆者は12の≪つくる責任・つかう責任≫を挙げたいと思います!
まず目標自体の記載がシンプルでイメージがつきやすいですし、11のターゲットの中に「リデュース」「リサイクル」「リユース」という耳馴染みのある言葉も出てきます。
いくつか身近な事例を挙げてみたいと思います。

・某ファッションブランド
回収したペットボトルを砕いてポリエステルチップにしたものを糸として活用し、ポロシャツやパーカーの生地として「リサイクル」!
・東京メトロ
営業運転を終了した銀座線01系の廃材を自動販売機に「リユース」!

上記はいずれも本来ゴミとして処分する際に発生するはずだったCo2を「リデュース」していることにもなります。

手前味噌ですが、当社もお客様から破棄の許可をいただいた上で、納品いただいた未使用ポスターを古紙再生業者へ搬送し、愛知県の製紙工場
にてトイレットペーパーの原料として活用してもらうという取組みを行っており、これも「リサイクル」ですね!

子どもの意識の変化

ここで、当社が2022年4月から参画させていただいている「みなと環境にやさしい事業者会議(以下、mecc)」さんの取組みをご紹介します。
7月上旬、meccさん主催の「みなとクリーンアップ大作戦2022」というごみ拾いのイベントがあり、筆者も参加しました。
加盟企業の社員と家族・友人が参加できるのですが、筆者も5歳の娘と2歳の息子を連れて行きました。

2歳の息子は何も考えず(笑)ついてきてくれたのですが、5歳の娘は「何かもらえるかもしれない!」という純粋なのか?邪まなのか?判断が難しい動機で参加しました。

ただ、いざイベントが始まって、食べかけのパンが落ちているのを見て、
『何でまだ残っているのに捨てるんだろうね』
とポツリ。

『お腹がいっぱいになってしまったのかもしれない』と返すと、
『それでもゴミ箱に捨てなければいけないよね』
とさらにポツリ。(うむ、良い子に育っていますねぇ・・・!)

参加する前には、何かをもらいたくて参加した娘もたった数十分のゴミ拾いで気づきを得られたようです。

イベント参加後には『わたしが一番たくさん拾ったかな?』と充実感のある顔で振り返っていました。
もちろんごみを拾った量を競う目的のイベントではないですが・・・汗
自分の行いが何かの役に立った、もっと言えば「どれだけ良いことをしたのか」という気持ちがSDGsのスタートになったって良いと思います。
限られた地域で、限られた時間の中、限られた人だけ行われたイベントでしたが、⑫≪つくる責任・つかう責任≫の中にある、

12.5 2030年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する。
12.8 2030年までに、人々があらゆる場所において、持続可能な開発及び自然と調和したライフスタイルに関する情報と意識を持つようにする。

に合致する確かな活動だと考えています。

SDGsは難しくない!

某女優さんが「地球に恩を売る!くらいの気持ちで取組むべき」と語っているのを拝見しました。まさに今回の娘の意識の変化と同じで、そのくらいの心構えで良いのだと思います。

当社は「創造力」をもって、お客様の課題解決を行っていく企業です。
その「創造力」を「持続可能な社会」への貢献にも活用したいと考え、そのための第一歩としてmeccさんに加盟させていただきましたが、もちろん加盟はゴールではなくスタートです。
様々な取組みへの参加を通して、社員一人ひとりが「自分ならではのSDGsへの貢献」を見つけることが何より大事です。
それが今回のようなごみ拾いでも、マイボトルを使うでも、車を使わず自転車を使うでも、何だって良いんです。

その意識を大きな塊に育て上げ、今後企業を主語とした独自の取組みができるようにという想いを込めて、
筆者のコラムの結びとさせていただきます。

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