『立読み歓迎!コラボプロジェクト』読んで楽しむ交通広告で無料閲覧数が 2.4 倍にアップ!

東京メトロ全線で展開された『立読み歓迎!コラボプロジェクト』。特別インタビューは、その仕掛け人であるメトロアドエージェンシーとスターツ出版の特別対談をお送りします。電車の移動時間とデジタルコミックをかけ合わせた今回のプロジェク トを通して、新しいコミュニケーションの可能性について語ってもらいました。

星 野 まずは自己紹介ですね。メトロアドエージェンシーの星野と申します。駅・車両広告の販促・管理業務を行っています。趣味は漫画を読むことで、いつか交通広告と漫画を組み合わせた企画を実施してみたいと思っていたため、このような企画を立ち上げることができ、とても嬉しく思います!

スターツ出版さま、自己紹介をお願いいたします。

小 林 スターツ出版の小林と申します。出版マーケティンググループに所属し、書籍コンテンツを読者に届けるまでのお仕事全般を行っています。

黒 川 スターツ出版の黒川と申します。小林と同様に出版マーケティンググループに所属し、主に少女コミックスのレーベルを中心に読者に書籍コンテンツを届ける仕事全般を行っています。

星 野 ありがとうございます。それでは早速、今回の『立読み歓迎!コラボプロジェクト』 について振り返っていきたいと思います。 よろしくお願いいたします!

◆デジタルコミックの現状について

星 野 まずはデジタルコミックの現状について教えてください!

小 林 そうですね。まずコミックスの発刊状況から言いますと、紙とデジタルの比率が4: 6デジタルコミックの利用は増加傾向にあり、シェア率は紙をややリードしているといった状況でしょうか。

デジタルコミックのみに絞って見てみると、ユーザー層は30代~50代の男女が中心となっ ています。一週間を通した利用動向では、金曜日から日曜日にかけて作品を購入する傾向が高いですね。利用する時間はユーザーのライフスタイルに沿って様々ですが、全体的には朝の通勤時間と夜帰宅してからの時間、特に就寝前の時間帯が多いと考えられます。

星 野 東京メトロは通勤で利用する方も多いので、主なユーザー層と被る部分があります。そういう意味では、今回のプロジェクトでお客さまと作品が出会う場をつくることができたかもしれません。

ちなみにスターツ出版さまでは、1ヶ月でどれくらいの新作をデジタルコミック化するのですか?

黒 川 1ヶ月単位では3〜4本、年間で40タイトルほどがデジタルコミックになります。

星 野 毎月新しい作品に出会えるのは、読者側としては楽しみがあっていいですね。デジタルコミック化において感じている課題などはありますか?

小 林 新作を月に3〜4本発刊する中で、作品をどのように生活者に届けるか」が一番の課題ですね。

マーケットとしては日本国内はやや停滞傾向にあるものの、海外市場も視野に入れればまだまだ伸びていくと感じています。そのため、いかに閲覧できる作品を増やすかが業界全体の課題となっており、出版社間で漫画家さんと編集者の奪い合いが生じています。この状況をどう乗り切っていくかも課題のひとつです。

星 野 ありがとうございます。多くの人がスマホで楽しく漫画を読んでいる裏側で、そういった状況も起きているのですね。

スターツ出版では、1年で40タイトルほどの新作がデジタルコミックに。多くのコンテンツがあふれる昨今、「どのように生活者に作品を届けるか」はスターツ出版をはじめ、業界全体の大きな課題と語る小林氏。
スターツ出版では、1年で40タイトルほどの新作がデジタルコミックに。多くのコンテンツがあふれる昨今、「どのように生活者に作品を届けるか」はスターツ出版をはじめ、業界全体の大きな課題と語る小林氏。

◆交通広告 ✕ 漫画という新たな試み

黒 川 今回のプロジェクトで交通広告との掛け合わせに「漫画」を選ばれた理由はなんですか?

星 野 まず「毎日の移動時間においてもっと楽しいひと時を提供したい」という思いから、この企画が生まれました。東京メトロに乗車中のお客さまが楽しめる交通広告とは何だろう…?と考えた時に、漫画が最も相性がいいのではないかと思いました。

私自身も漫画が大好きですし、車両のメディアは乗車中に立ち止まってじっくりと見ることができるという強みがあるので、老若男女幅広いお客さまが楽しめるコンテンツだと思ったのです。

黒 川 たしかに、電車の中で漫画を読んでいる方をたくさんお見かけします。

星 野 だからこそ、交通広告の特徴である「偶然の出会い」を生かし、電車に乗っているときに偶然出会った漫画が、その人にとって特別なものになったらいいなと……。

デジタルコミックに関する意識調査によると、移動中でも手軽に読みたいというユーザーが多く、まど上ポスター(※)で漫画を立読みできて、さらに自身のスマホからその続きを読めるという流れは、お客さまにとっても楽しい体験になるのではないかと考えたのです。

また、交通広告はタッチポイントとして機能し、「気になったものをチェックしてみる」など行動遷移を補完するメディアである一方で、広告効果が実感しづらいという課題も抱えています。そういった課題を解決するための試みと、移動中のお客さまに少しでも楽しい時間を提供したいという想いで今回のご提案をさせていただきました。

そしてスターツ出版さまと、「コミックシーモア」を運営しているエヌ・ティ・ティ・ソルマーレさまに協力していただくことで、今回の『立読み歓迎!コラボプロジェクト』の実現にいたりました。

黒 川 先ほど小林も言っていましたが、作品をどのように生活者に届けるか、という課題を私たちは常に抱えています。そんな中、交通広告という媒体で広告展開の提案をいただき、「おもしろそう!コンテンツが広がりそう!」と素直に思い、すぐにお返事をしました。とても素敵なご提案、本当に感謝しております。

※まど上ポスター=座席上部に掲出されている広告

電車の移動時間にまど上ポスターでストーリー冒頭を試し読みできる今回のプロジェクトでは、1月~5月にかけて全4作品を紹介。原作者や漫画家へのインタビューなど特別企画も展開された。
電車の移動時間にまど上ポスターでストーリー冒頭を試し読みできる今回のプロジェクトでは、1月~5月にかけて全4作品を紹介。原作者や漫画家へのインタビューなど特別企画も展開された。

◆『立読み歓迎!コラボプロジェクト』がスタートした後の変化は?

星 野 さて、1月~5月まで4作品分の作品をまど上ポスターで紹介してきました。実際に広告が掲出されているのをご覧になって、どう感じましたか?

小 林 実物を見た時はとても嬉しかったです!今回、東京メトロ全線での掲出であったため、どの路線・どの車両に乗車してもこの企画の広告を見ることができるようになっていました。そのため期間中は東京メトロに乗るのが毎回楽しみでした。

プロジェクトを仕掛けた側としては、東京メトロに乗車中の方たちがどこを見ているのか、どう過ごしているのかなど、つい観察してしまいましたね。

星 野 今回のプロジェクトの実施前後で、無料閲覧数が対平均244%増加、初購入者数は対平均113%の増加となり、データからも改めて媒体効果を感じることができました。まど上ポスターで興味を持ったらその場ですぐに「コミックシーモア」にアクセスできたことで、無料閲覧数の増加に繋がったと考えています。

また、試し読みで「続きが気になる」という心理にさせることも意識していましたが、実際に購入数もアップしたことについては、弊社としては想像以上の結果となりました。スターツ出版さまではどんな反応がありましたか?

小 林 「見たよ!」「いいね!」「反響はどうですか?」など、社内外ともにいろんな方から声をかけてもらいました。実際にお客さまから「まど上ポスターで作品を知った」という声もいただき、たくさんの方に認知してもらえたと大きな手応えを感じています。

広告掲出後の無料閲覧数・初回購入者数はともにアップ。東京メトロの車内で広告を見かけ、特に無料閲覧に進むユー ザーの数は大幅に上昇した。
広告掲出後の無料閲覧数・初回購入者数はともにアップ。東京メトロの車内で広告を見かけ、特に無料閲覧に進むユー ザーの数は大幅に上昇した。

星 野 今回のプロジェクトを通して、交通広告に対するイメージの変化や新しく見出した可能性などがあれば教えてください。

黒 川 電車の移動時間に多くの方々がスマホで何かしらを見ているなかで、交通広告は新たな読者接点として非常に親和性が高いというのは大きな発見でした。結果も含め、スターツ出版としては今回のプロジェクトに参加することができて本当に良かったと思います。

小 林 メトロアドエージェンシーさまはいかがでしたか?

星 野 今回の企画を通して、改めて車両メディアの可能性を感じることができました。昨今では街ナカ、駅、電車、スマホなど、至るところに情報があふれています。移動中、広告に目を向けてもらうこと自体が以前より難しくなっているので、インパクトある広告展開が重要視されています。そのため、空間ジャックできる広告貸切電車や、駅空間を活用した展示や音出しなど「五感で楽しむことのできる」広告が多く実施される傾向にあります。

車両メディアの場合はスペースが限られていますし、何よりも車内はお客さまに快適に過ごしてもらうことが大前提なので、媒体社としては『広告を通して、お客さまに積極的に呼びかける』ことに少し悩む部分もあります。

一方で、まど上ポスターのような媒体は、車内にいる間は立ち止まってじっくりと見ることができるという強みがあります。また強制視認性が高いメディアだからこそ、友人や同僚が一緒にいる時は、コミュニケーションのツールとして生きる点も魅力です。

今回のように、車内でいちばん大きなポスターを最大限活用し、情報を“読ませる”展開が、お客さまにマッチしたのではないかと感じます。これからも交通広告の特徴を生かした新たな訴求方法を探っていきたいと思います。

今回のプロジェクトで大きな手応えを得ることができたと語るメトロアドエージェンシー・星野氏とスターツ出版・黒川氏。今後も交通広告の新しい展開に期待が寄せられる。
今回のプロジェクトで大きな手応えを得ることができたと語るメトロアドエージェンシー・星野氏とスターツ出版・黒川氏。今後も交通広告の新しい展開に期待が寄せられる。

電車内という空間の中で、新しいコミュニケーションの形が見つかった今回のプロジェクト。たくさんの人を楽しませる漫画と交通広告の融合は、これからもさらなる展開が期待できそうです。今後も新しいプロジェクトにご期待ください!

  • <参画企業>
    会社名 :株式会社メトロアドエージェンシー
    代表者 :川田 博之
    事業内容:東京メトロ交通広告媒体及び各種広告業務に関わる業務全般の販売・運営・開発

  • 会社名 :スターツ出版株式会社
    代表者 :菊地 修一
    事業内容:書籍コンテンツ事業・メディアソリューション事業

  • 会社名 :エヌ・ティ・ティ・ソルマーレ株式会社
    代表者 :朝日 利彰
    事業内容:電子書籍事業・ゲーム事業

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