意外と知られてない!?交通広告を数字で測る方法とは? ~交通広告に関する指標データについて~

マーケティング部では、クライアントの課題解決に向けたコミュニケーション戦略、メディアプランニング、さまざまなデータを用いた分析、マーケティングリサーチや広告効果測定などのソリューションを提供しています。このコラムでは、出稿前のメディアの検討や、出稿後の効果測定に関する「交通広告を数字で測る方法」をお伝えします。

はじめに

交通広告は、効果測定が難しく、出稿の検討がしにくいと言われているメディアです。しかし、交通広告を数字で効果を測ることは可能で、実際に行われています。本コラムでは、交通広告に関するデータや効果測定方法をご紹介いたしますので、検討の一助になれば幸いです。

交通広告のメリットとは?

交通広告には、電車内の中づりポスター、駅構内のデジタルサイネージなどがあり、特徴としては「高い到達力」「反復訴求」「エリア性のあるターゲットセグメンテーション」などが挙げられます。電車や駅は多くの方が日常的に利用するため、交通広告は、多くの方に接触し、刷り込みによる効果が期待できるメディアと言えます。

交通広告の特徴についての詳細は、こちらのコラムをご覧ください。

いまこそ使える!「交通広告」のメリットについて

これから、交通広告の出稿の流れに合わせて「出稿前の検討」「出稿後の効果測定」で活用できる指標やデータ、交通広告業界全体の取り組みについてご紹介していきます。

出稿前に参考となるデータは?

電鉄会社や媒体社が発表している駅・路線の利用者数

まず一番に参照できるデータとして、各電鉄会社や媒体社が発表している「駅」や「路線」の利用者数があります。1日あたりの利用者数が分かるので、駅や路線の利用者のボリュームが把握でき、「到達力」の指標として、参考にすることができます。また、駅や路線よっては、利用者の属性構成比も発表している場合があるのでターゲットごとの数値を推計することも可能です。

例)東京メトロ銀座駅
例)東京メトロ銀座駅

このときに注意すべき点は、電鉄会社ごとに、発表している「利用者」の定義が異なるということ。例えば、東京メトロの1日あたりの駅利用者は、「乗車人数と降車人数の合計」を記載していますが、JR東日本は「乗車人数のみ」なので、比較するには、JR東日本のデータを2倍にして比較する必要があります。

※媒体社の発表では、「乗降人員+乗り換え人数」を「利用者」と定義している場合もあります。どちらも間違いではありませんが、複数の媒体社間の比較する際は、記載の定義をご確認ください。

生活者データに基づく推定媒体接触者数の算出

先にお伝えした駅や路線の利用者数では、「単駅」「単路線」の到達力を把握することができます。しかし、複数の駅や路線に掲出されるセットメディアや、複数のメディアを組み合わせたオリジナルプランの「到達力」を知りたい場合は、どうしたらよいでしょうか?
その際に活躍するのが「生活者データ」です。大規模調査による幅広い性年代の生活者の意識と行動を捕捉可能なデータによって、推定の媒体接触者数を個別に算出可能で、プラン全体の「到達力」を明らかにすることができます。

メトロアドエージェンシーでは首都圏エリアの交通広告に対してシミュレーションが可能ですので、メディア検討の際は、ぜひお問い合わせ・ご要望ください!

参考:「媒体接触者の可視化」に向けた業界の取り組み

前項で紹介した手法によって「到達力」を測ることが、まだまだ多いですが、一方で、交通広告の効果をデータで可視化するために、業界全体で取り組みが進められています。


首都圏において交通広告を販売・管理する鉄道事業者ならびにハウスエージェンシーやグループ広告会社の11社局で構成する「交通広告メジャメント標準化検討会」は、交通広告における媒体接触者(オーディエンス)の可視化を図る手法(メジャメント)の標準化を目的とする「交通広告におけるメジャメントガイドライン【第2版】」を公開。
本ガイドラインでは、最初のステップとして、駅広告媒体においてデータを取得し、「媒体接触可能人数」を推計するための標準的な手法のあり方を定めています。 今後のステップとしては、車両広告媒体におけるメジャメントの手法、交通広告における定量的な独自価値について、引き続き具体的な検討を行い、随時、本ガイドラインを追加・改訂していくことを予定しています。

広告を覚えている割合「広告到達率」

これまでは、駅や路線、メディアプラン全体に対する、推定接触者数を知る方法をお伝えしました。続いては、そのメディアに掲出された広告を覚えている割合である「広告到達率」という指標をご紹介します。

「広告到達率」は、調査で、実際に広告が掲出された路線の利用者を対象として、対象広告を見たか確認し、"掲出期間内"に「見た」または「見たような気がする」と回答した人の割合を出したものです。

出典:メトロアドエージェンシーメディアガイド・交通広告調査
出典:メトロアドエージェンシーメディアガイド・交通広告調査

広告到達率は、視認性が良く、記憶に残りやすい媒体としての傾向を計るのに役立ちます。また、前述の媒体接触者数に掛け合わせることで、推定の広告到達人数を計算することも可能です。

参考:「交通広告の共通指標化」に向けた業界の取り組み

「広告到達率」の調査は、業界団体によって定められたものです。交通広告の共通指標策定を目的に、「公益社団法人日本鉄道広告協会」「一般社団法人日本広告業協会」及び「関東交通広告協議会」の3団体は、交通広告アカウンタビリティ向上を目的に、2013年5月『交通広告共通指標推進プロジェクト』を立ち上げ、交通広告効果の共通指標整備を開始しました。
その中で「交通広告共通指標策定調査」として、交通広告の共通指標策定を目的に、関東交通広告協議会11社局の各路線の調査対象路線にて「車両メディア調査」が行われており、インターネットリサーチにて、実際の掲出広告を提示した上で『広告到達率』などを尋ねて、指標化、データの蓄積を行っています。

東京メトロのメディアについては、車両メディアに加えて、駅メディアについても独自に調査を行っており、スコアをHP上で公開していますので、ぜひ参考にご利用ください。

出稿後の効果測定方法は?

出稿後に、交通広告の効果測定を行うための方法はどのようなものがあるのでしょうか。

アスキングデータ(生活者への調査)に基づく効果測定

交通広告の効果測定方法として一般的に広く活用されるのが、推定媒体接触者に対する調査から得られた"アスキングデータ”を用いる手法です。インターネットリサーチが主に用いられ、広告が掲出されたエリアの利用者に対して、「広告到達率」や、ブランドイメージに対する「意識変容」、商品の購買、施設への訪問などの「態度変容」、掲出広告素材に対する「クリエイティブ評価」などの設問を聴取します。
前項で紹介した「広告到達率」は、交通広告の効果測定で、よく用いられる指標。実際に広告が掲出された路線の利用者を対象として、調査対象広告を見たか確認し、"掲出期間内"に「見た」または「見たような気がする」と回答した人の割合を出します。それにより、広告の到達状況が測れますし、媒体接触者数の推計値に掛け合わせることで、推定広告到達人数を出すことが可能です。 

下記のコラムにて、実際の広告掲出後の効果測定事例を紹介していますので、ぜひご覧ください。

「気になる」から「行動」へ。リーチ獲得・集客にもつながる東京メトロの駅広告効果事例

調査手法は、コストが抑えられるため、インターネットリサーチを主に用いますが、駅で有人調査を行う駅頭調査を用いる場合もございます。掲出事後の調査を行うことで、次回出稿への示唆や、クライアント社内での報告に役立つため、調査をセットで行うことをおすすめしております。

アクチュアルデータ(行動ログなど)による効果測定

前項では、調査によるアスキングデータに基づく効果測定をお伝えしましたが、実際の生活者の位置情報・行動ログなどのアクチュアルデータで効果を測定する動きも広がってきています。
メトロアドエージェンシーでは、一部の駅メディアで、実際の人流データをもとに、広告視認可能性がある人数を週次でレポーティングしています。その他のメディアについても、順次対応を進めています。
当社以外でも、視認可能性の人数と、交通広告のインプレッションも加味した推計値を出す取り組みなどが行われており、交通広告のアクチュアルデータでの効果の可視化は現在進行形で取り組まれています。

まとめ

効果を測定することが難しいと言われていた交通広告ですが、業界全体で、可視化する取り組みが行われています。そのなかでも、すでに様々な方法で広告出稿前の検討を客観的に判断する指標を用いたり、出稿後の効果測定を行うことが、実施されています。
ぜひ広告出稿を検討する際は、本コラムでご紹介した内容をご活用ください。また、メトロアドエージェンシーでは、出稿の検討段階から、掲出後の効果測定まで、一貫したサポートが可能ですので、ぜひお気軽にご相談いただければ幸いです。

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